PC(ポリカーボネート)とは
PC(ポリカーボネート)は、ポリマーの一種であり、強度と透明性を兼ね備えた素材です。その化学式は(C16H14O3)で、モノマーのビスフェノールA(BPA)とフェノールの脱水縮合によって合成されます。PCは、その耐衝撃性と耐熱性が特徴であり、他のプラスチックと比較して非常に強いです。透明度が高く、光を効果的に透過するため、視認性の高いアプリケーションに適しています。また、耐候性に優れており、屋外での使用にも適しています。耐薬品性も高く、化学物質に対して安定しています。そのため、自動車部品、建築材料、光学ディスク、医療機器など、さまざまな産業で広く利用されています。
PC(ポリカーボネート)の特徴
PC(ポリカーボネート)は、高い耐久性と透明性を持つポリマーの一種です。生成方法によって、いくつかの種類に分類されます。
基本ポリマー
ビスフェノールA(BPA)とフェノールの反応によって生成されるビスフェノールA型PC。カルボン酸塩と反応させ、PCポリマーを形成します。この型のPCは一般的であり、耐熱性や耐衝撃性に優れています。
複合グレード
ガラス繊維強化グレード、カーボン繊維強化グレード、無機充填材によるグレードなど用途に応じた性能強化型PCです。カバー類では制電グレードが多く使用されています。
ポリマーアロイ
PCは他のポリマーを組み合わせて、さまざまな特性を持つ材料が得られます。PC/ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)ブレンドは、PCとABS樹脂を混合して作られます。このブレンドは、PCの耐衝撃性とABSの加工性を兼ね備えており、自動車部品や電子機器などの製造に広く使用されています。
PC(ポリカーボネート)の特徴
PCは、一般的に他のプラスチックよりも高い耐衝撃性を有します。一般的にアクリルや一般のプラスチックよりも25〜250倍高い耐衝撃性です。これは、非常に高い靭性を持ち、急激な衝撃に対しても変形しにくい性能を証明しています。その他の特性として、耐候性が挙げられます。PCは紫外線や気候の変化に強く、長期間屋外で使用される製品に適しています。透明度も非常に高く、ガラスよりも光透過率が高いため、光学レンズや照明器具の保護カバーなどの用途に適しています。また、耐熱性があり、一般的に130〜140°Cまで耐えることができます。これにより、高温環境下での使用が可能であり、自動車部品や電子機器のケースなど、高温に晒される製品にも適しています。
PC(ポリカーボネート)の特徴 一覧表
耐熱性 | 耐薬品性 | 耐衝撃性 | 電気絶縁性 | 透明性 | 耐候性 | 寸法安定性 | 難燃性 | 成形性 | 接着性 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
⚪︎ | × | ◎ | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ○ |
圧縮強度 | コスト |
---|---|
▵ | ▵ |
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PC(ポリカーボネート)のメリット・デメリット
ポリカーボネート(PC)のメリット・デメリットを簡単にまとめました。
素材ごとに性質や価格が異なるため、メリットとデメリットを正しく知った上で最適な素材を選択することが大切です。
PC(ポリカーボネート) 加工のメリット
PCは非常に耐熱性が高く、高温環境に耐えることができます。また、耐候性にも優れており、屋外での使用や長期間の使用にも適しています。 さらに、PCは優れた透明性を持ち、光をよく通すため、光学部品や透明なカバーなどの製造に最適です。優れた耐衝撃性もポイントのひとつで、高い強度と剛性を兼ね備えています。そのため、衝撃に強い部品や安全性が求められる製品の製造に適しています。 切削加工することの利点としては、PCは加工性が高く、切削加工やCNC加工が容易です。複雑な形状や細かいディテールを持つ部品でも精密に加工することができます。また、PCは比較的軽量でありながら高い強度を持っているため、軽量化や高性能化が求められる製品に適しています。
PC(ポリカーボネート)加工のデメリット
PCは有機溶剤や界面活性剤に弱く、割れや変形の原因になる恐れがあります。また硬度はさほど高くないため、摺ったり引っ掻くと表面に傷が付きやすいです。PCの切削加工を考えると、精密な形状や細かいディテールを持つ部品を作る際には、切削加工が複雑化し、時間と労力がかかることがあります。また加工後の部品には、切削による内部応力や残留ストレスが残ることがあり、これが部品の歪みや割れの原因となることもあります。
PC(ポリカーボネート)とよく比較される素材
PC(ポリカーボネート)は耐衝撃性、透明性、耐熱性があり、広範囲にわたる用途に使用されます。代用として一般的に考えられるのは、アクリル樹脂です。アクリル樹脂はポリカーボネートと同様に透明性が高く、外観が美しく、光沢があります。しかし、アクリルは耐衝撃性が低く、ポリカーボネートほど耐久性がありません。また、耐熱性もポリカーボネートほど高くありません。アクリルは一般的にガラスの代替品として使用されますが、ポリカーボネートはより厳しい環境やアプリケーションに適しています。例えば、自動車のヘッドライトやバイザー、保護用のシールドなど、高い耐衝撃性が求められる場所でポリカーボネートが選択されることがよくあります。一方、アクリルはディスプレイ、スタンド、インテリアデザインなどの用途に適しています。
PC(ポリカーボネート)加工を採用するのにお勧めのシーン
どんな時にポリカーボネートを採用すべきかを簡単にまとめました。
破損や事故からの安全性を確保したい
長期間にわたって色あせや変形を防ぐ耐候性が必要
安全カバーの外から機械や設備の動作を確認したい
軽量化を実現し、燃費効率を向上させたい
清潔感を保ちつつ、操作性や視認性を確保
PC(ポリカーボネート)加工のポイント
加工の際のポイントをまとめました。
目的達成のために最適な素材を選択する
今回の加工における目的達成のためにポリカーボネートが最適かを判断しましょう。「材料費はやや高価だが、手に入りやすく工期を考慮するとポリカーボネートが一番手っ取り早い」と短絡的に考えると失敗することがあります。加工のしやすさや加工条件など、トータルで評価することが大切です。
欲しい精度や品質に最適な加工方法を選択する
加工方法は、望んだ精度や品質が実現できる手法を選びましょう。もっとも精度を高めたい場合は、切削加工がお勧めです。
品質に注意して加工業者を選択する
ポリカーボネートの場合は、加工後の透明度や表面に傷がついていないかなど、素材の性質に合わせた後処理がきちんとなされているかチェックしましょう。加工部分のわずかな擦り傷や曇りが、使用用途に対する性能不足の原因となることも多いため、丁寧な仕事をする先を選ぶと安心です。 また、寸法や穴径などの納品前検査が精密になされているかも確認しましょう。
F・S・のPC(ポリカーボネート)加工の特徴
F・S・エンジニアリングのPC加工の特徴をまとめました
FEATURES
精度の高い加工が実現する
ポリカーボネート(PC)の性質を考慮した設計、加工を行うため寸法に狂いが生じにくいのが特徴です。 微細加工機、マシニングセンター、NC旋盤など豊富な工作機器を使い、最適な手法・速度・回転数で加工を行います。
FEATURES
仕上げに強い
高い切削技術により、割れ・欠けの発生を極力抑えた加工を実現します。切削加工後に透明度が落ちた場合にも、速やかに目的・用途に応じた処理(磨き等)をすることで、高品質な樹脂パーツ、治具の納品に努めています。
FEATURES
パーツ1つからご相談が可能
高い精度の要求を可能にする切削加工の場合は、最小1個から承ることが可能です。素材や設計の変更、微調整、試作品としてなど「1個、精度の高い樹脂加工部品を手に入れたい」というお客様のお力になれます。
加工実績
食品加工・半導体・医療など、各分野のニーズを捉えた当社の加工実績をご紹介します。
汎用プラスチック
汎用プラスチック素材に関するご案内です。
※その他にもSPS・PMPなどさまざまな素材の取り扱いがございます。
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機械的強度や耐熱性などに優れた特性を有する汎用エンプラ素材に関するご案内です。
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