PET(ポリエチレンテレフタレート)とは
PET(ポリエチレンテレフタレート)は、化学的にはポリエステルの一種であり、エチレングリコール(EG)とテレフタル酸(TPA)またはそのジメチルエステル(DMT)の重縮合反応によって生成されます。化学式は(C10H8O4)nで示されます。PETの特徴的な構造は、エチレングリコールとテレフタル酸の繰り返し単位によって形成される長い分子鎖にあります。この構造がPETに優れた物理的および化学的特性を与えます。 PETの物理的特性は、高い加工性と耐熱・耐寒性を持ちつつ、引っ張り強度に優れている点が挙げられます。これにより、ボトルやフィルム、繊維などの幅広い用途に適しています。また、透明性が高く、光の透過率が良いため、工業用では製造現場の安全カバーなどに使用されることが多いです。 さらに、PETは化学的にも安定しており、食品や化学薬品の包装材料としても使用されることが多いです。そして、PETのもう一つの重要な特徴は、リサイクルのしやすさです。使用済みPET製品は容易にリサイクルされ、新たなPET製品として再利用されることができます。PETは持続可能な材料として注目されています。
PET(ポリエチレンテレフタレート)の特徴
PET(ポリエチレンテレフタレート)は、多用途にわたって使用されるプラスチック材料の一つで、主に飲料ボトルや食品容器、繊維製品などに使用されます。PETは、その優れた物理的特性と化学的特性により、幅広い応用が可能です。
非強化グレード
工業用途で使用され、耐熱性や耐薬品性、耐摩耗性に優れた高機能エンプラです。強化グレードとして、制電や帯電防止などがあります。
易結晶化グレード
70℃程度の金型温度で結晶化が進むグレード。高温度金型を使用することなく、射出成形できるという加工性が改良されました。
複合グレード
ガラス繊維や無機充填材によって複合強化されたグレード。ガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレート(GF-PET)は軽くて丈夫な素材として自動車部品などに利用されています。
ポリマーアロイ
PETは相手樹脂の改質のためにアロイ用としても使用されます。PCやABS樹脂のような非結晶性合成樹脂の耐ソルベントクラック性の改良、結晶化速度の速いPBTの表面光沢性の改良などに寄与します。
PET(ポリエチレンテレフタレート)の特徴
PETはその耐久性、耐薬品性と耐熱性、透明性、リサイクル性、そして食品安全性に優れていることから、非常に多用途であり、現代社会において欠かせない材料となっています。最も顕著な特徴の一つはその優れた耐久性です。PETは高い引張強度を持つため、飲料ボトルや食品容器などの日常的に使用される製品から、自動車部品や電子機器の部品に至るまで幅広く利用されています。また、PETは軽量であるため、包装材として使用される際には製品の保護性能を高めつつ、輸送コストを抑えることができます。 次に、PETは優れた耐薬品性と耐熱性を持っています。多くの化学薬品に対して耐性があり、120度以上の温度にも耐えることができるため、食品の保存や調理用の包装材としても重宝されています。さらに、PETは透明性が高く、光沢があるため、視認性が求められる製造ラインの安全カバーやディスプレイ材料としても適しています。 また、PETはリサイクル性が非常に高いことも大きな特徴です。使用済みのPET製品は再生可能であり、新たなPET製品や他の製品に再利用されることが多いです。
PET(ポリエチレンテレフタレート)の特徴 一覧表
耐熱性 | 耐薬品性 | 耐衝撃性 | 電気絶縁性 | 耐候性 | 寸法安定性 | 紫外線 | 耐熱水性 | 成形性 | 接着性 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | × | × | ◎ | × |
機械的強度 | 耐有機溶剤 |
---|---|
▵ | × |
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PET(ポリエチレンテレフタレート)のメリット・デメリット
PET(ポリエチレンテレフタレート)のメリット・デメリットを簡単にまとめました。
素材ごとに性質や価格が異なるため、メリットとデメリットを正しく知った上で最適な素材を選択することが大切です。
PET(ポリエチレンテレフタレート) 加工のメリット
PETを加工するメリットは、リサイクル性の高さによる環境保護、コストパフォーマンスの良さ、優れた技術特性です。まず、環境面ではPETはリサイクルが容易な素材であり、使用済みのPETボトルや容器は新しい製品に再生することができます。これは、資源の有効活用と廃棄物の削減に大きく貢献します。実際、再生PET(rPET)を使用することで、CO2排出量の削減にもつながります。次に、コスト面での利点ですが、PETは大量生産が可能で、コストパフォーマンスに優れています。そのため、食品や飲料のパッケージ、医薬品の容器、繊維製品など、幅広い分野で使用されています。特に、PETボトルは軽量で割れにくく、輸送コストの削減や取り扱いの容易さという点で優れています。最後に、技術面でもPETには多くのメリットがあります。PETは透明性が高く、優れたバリア性を持っているため、内容物の保護に適しています。食品や飲料のパッケージに使用される場合、酸素や二酸化炭素、湿気の侵入を防ぎ、内容物の品質を長期間保つことができます。また、PETは耐熱性と耐寒性に優れており、電子レンジや冷凍庫でも使用可能な製品の製造が可能です。
PET(ポリエチレンテレフタレート)加工のデメリット
PETの加工(おもに射出成形)には高温が必要なこと、吸湿性による乾燥の必要性、環境への影響といったデメリットがあります。PETには加水分解の恐れがあり、高温・高湿度環境下ではその機械的特性が低下することがあります。また、PETの生産には石油資源が必要であり、これが環境への影響を懸念する声もあります。切削加工の場合、PETは硬く、耐摩耗性が高いため、切削工具には特別な配慮が必要です。カーバイド(超硬)工具やダイヤモンドコーティングされた工具を選定します。また、切削加工後、PETの表面にはバリや切粉が残ることがあります。素材の特性としては、強度が弱いため、工業用のパーツとして使用する場合、ガラス繊維等の補強が必要となります。
PET(ポリエチレンテレフタレート)とよく比較される素材
PETとよく似た樹脂材料として、PBT(ポリブチレンテレフタレート)を取り上げて比較してみましょう。PETは、主にボトルや食品容器、繊維などに広く使用される熱可塑性樹脂です。透明性が高く、ガスバリア性に優れています。また、リサイクルしやすい特徴もあり、環境に優しい材料として評価されています。機械的強度が高く、耐化学薬品性や耐摩耗性にも優れていますが、加水分解の恐れがあるため、高温・多湿気の環境では性能が低下することがあります。 一方、PBT(ポリブチレンテレフタレート)も熱可塑性樹脂であり、電気・電子部品、自動車部品、産業用部品などに使用されます。PETと同様に高い機械的強度と耐化学薬品性を持ち、成形加工性にも優れています。特に電気絶縁性が良いため、電気・電子分野での利用が多いです。PBTは低吸湿性であり、湿気に強いため、湿気の多い環境でも性能が安定しています。しかし、PETに比べて透明性は低く、一般的には不透明な製品に使用されます。加工性の観点から見ると、PBTは成形加工性に優れ、複雑な形状の部品を成形しやすいという特徴があります。
PET(ポリエチレンテレフタレート)加工を採用するのにお勧めのシーン
どんな時にPETを採用すべきかを簡単にまとめました。
透明性と耐油性が求められる、食品に安全な材料
軽量化を求めているとき
さまざまな加工方法での加工を
前提としているとき
家電製品の外装部品や内部の絶縁材料
再利用可能な素材を求めているとき
PET(ポリエチレンテレフタレート)加工のポイント
加工の際のポイントをまとめました。
目的達成のために最適な素材を選択する
今回の加工における目的達成のためにPETが最適かを判断しましょう。「材料費が安価で手に入りやすいため、PETだと一番コストダウンできる」と短絡的に考えると失敗することがあります。加工のしやすさや加工条件など、トータルで評価することが大切です。
欲しい精度や品質に最適な加工方法を選択する
加工方法は、望んだ精度や品質が実現できる手法を選びましょう。もっとも精度を高めたい場合は、切削加工がお勧めです。
品質に注意して加工業者を選択する
特にPETの場合は、バリ取りや面取りの品質や表面に傷がついていないかなど、素材の性質に合わせた後処理がきちんとなされているかチェックしましょう。加工部分の小さなひげが寸法を狂わせる原因となることも多いため、丁寧な仕事をする先を選ぶと安心です。 また、寸法や穴径などの納品前検査が精密になされているかも確認しましょう。
F・S・のPET(ポリエチレンテレフタレート)加工の特徴
F・S・エンジニアリングのPET加工の特徴をまとめました
FEATURES
精度の高い加工が実現する
PET(ポリエチレンテレフタレート)の性質を考慮した設計、加工を行うため寸法に狂いが生じにくいのが特徴です。 微細加工機、マシニングセンター、NC旋盤など豊富な工作機器を使い、最適な手法・速度・回転数で加工を行います。
FEATURES
バリに強い
高い切削技術により、バリの発生を抑えた加工を実現します。バリが生じた場合にも速やかに適切に処理をすることで、高品質な樹脂パーツ、治具の納品に努めています。
FEATURES
パーツ1つからご相談が可能
高い精度の要求を可能にする切削加工の場合は、最小1個から承ることが可能です。素材や設計の変更、微調整、試作品としてなど「1個、精度の高い樹脂加工部品を手に入れたい」というお客様のお力になれます。
加工実績
食品加工・半導体・医療など、各分野のニーズを捉えた当社の加工実績をご紹介します。
汎用プラスチック
汎用プラスチック素材に関するご案内です。
※その他にもSPS・PMPなどさまざまな素材の取り扱いがございます。
汎用エンジニアプラスチック
機械的強度や耐熱性などに優れた特性を有する汎用エンプラ素材に関するご案内です。
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