PMMA(アクリル樹脂)とは
PMMA(ポリメタクリル酸メチル)は、メタクリル酸エステルを主成分とする合成樹脂で、重合反応によって製造されます。
化学式は [CH₂C(CH₃)(COOH₃)]n で、重炭酸エステル系ポリマーに属します。透明度が高く、ガラスに匹敵する光学的性質(光透過性94%)を持つことが特徴で、クリアな視覚的特性を提供します。一般的には無色ですが、特殊な添加物によって色をつけることも可能です。
軽量かつ強固で、高い耐候性を誇る一方で、耐衝撃性はガラスに比べやや劣ります。加工性が良好で、様々な形状に加工できます。照明具やディスプレイなどの家電製品から自動車のテールランプ等の工業製品まで幅広く利用されています。
PMMA(アクリル樹脂)の特徴
アクリル樹脂(PMMA)は、使用用途や加工方法に応じて多様な種類があります。主に成形加工法によって分類され、製造プロセスの違いによってバリエーションが形成されています。主な特徴は以下のとおりです。
PMMA ホモポリマー
射出成形や押出成形などに使用されるメタクリル酸メチルモノマーを重合して得られる非結晶性ホモポリマー。ガラスよりも軽量で優れた透明性と耐候性を有するため、航空機の風防ガラスなどに使用されます。
メチルメタクリレート コポリマー
メタクリル酸モノマーと他のアクリル系モノマーとの共重合によって形成されます。自動車部品などに使用され、高温下でも変形しない耐熱グレードがあります。また、柔軟性と耐衝撃性が向上しています。
ポリマーアロイ
複数の異なるポリマーを組み合わせた素材です。PMMAと屈折率の近いアクリル系エラストマーとの重合によって、透明性を維持しつつ、弱点でもある耐衝撃性を補強させたグレード・耐衝撃性改良透明PMMA等があります。透明性を保ちつつ帯電防止性・加工性を補強し、自動車の内装部品や電子機器の筐体などに使用されます。
PMMA(アクリル樹脂)の特徴
PMMA(ポリメチルメタクリレート)はアクリル樹脂の一種で、透明性が高く、ガラスに匹敵する光学的な性質を持ちます。軽量でありながら強度があり、耐候性に優れ、紫外線に対しても安定しています。成形加工がしやすく、多様な形状や用途に適応可能です。また、耐化学性が高く、酸やアルカリに対しても安定しています。透明度が高いため、デザイン性が要求される製品や照明器具、自動車部品や製造ラインのカバーなど工業用途にも採用されています。一方で、耐衝撃性はガラスより劣るため、注意が必要です。
PMMA(アクリル樹脂)の特徴 一覧表
耐熱性 | 耐薬品性 | 潤滑性 | 電気絶縁性 | 防湿性 | 耐寒性 | 紫外線 | 難燃性 | 成形性 | 接着性 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
× | ○ | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | × | ◎ | ○ |
耐衝撃性 | コスト |
---|---|
◎ | ◎ |
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PMMA(アクリル樹脂)のメリット・デメリット
アクリル樹脂(PMMA)のメリット・デメリットを簡単にまとめました。
素材ごとに性質や価格が異なるため、メリットとデメリットを正しく知った上で最適な素材を選択することが大切です。
PMMA(アクリル樹脂)加工のメリット
成形加工が容易で、様々な形状やデザインに柔軟に対応できます。熱可塑性樹脂であるため、切削加工はもちろん、注型や押出成形・射出成形などさまざまな方法で加工が可能です。 透明度が高く、この特性は安全カバー等に使用されると、安全性を保ちつつ製造工程の詳細を確認できる利点があります。また、光学レンズやディスプレイパネル、照明器具などでも重要視されます。軽量でガラスよりも優れた耐候性を持ち、外部環境にも適している上に、優れた耐化学薬品性も有しており、化学薬品に晒される状況でも安定性を維持します。さらに、低い水吸収率があり、湿気に対しても安定しています。
PMMA(アクリル樹脂)加工のデメリット
PMMAは高い温度に敏感であり、過度な摩擦や熱が発生すると素材が溶けやすくなり、表面の品質が劣化します。また、切削加工では表面を削るため、透明度が落ち、くもりが発生します。精密な切削が求められる場合、仕上がりに影響を及ぼす可能性があります。PMMAの加工には、専門的な知識と慎重な作業が必要です。
PMMA(アクリル樹脂)とよく比較される素材
PMMAと比較される素材の1つはポリカーボネート(PC)です。
ポリカーボネートは、高い強度と耐衝撃性を持ち、透明度が高いため、防弾ガラスや眼鏡レンズなどの用途に広く使用されています。一方、PMMAはポリカーボネートよりも比較的脆い素材であり、耐衝撃性がやや劣ります。しかし、PMMAは加工が容易であり、透明度が高く、低コストで製造することができます。
F・S・エンジニアリングでは異なる素材での試算も可能です。お気軽にお問い合わせください。
PMMA(アクリル樹脂)加工を採用するのにお勧めのシーン
どんな時にアクリルを採用すべきかを簡単にまとめました。
クリアな外観が求められるとき
強度を保ちつつ軽量化を求めているとき
屋外で長期間使用される部品が必要なとき
破損のリスクを軽減したい
さまざまな加工方法での加工を前提としているとき
PMMA(アクリル樹脂)加工のポイント
加工の際のポイントをまとめました。
欲しい精度や品質に最適な加工方法を選択する
加工方法は、望んだ精度や品質が実現できる手法を選びましょう。アクリル樹脂は加工性の高い熱可塑性樹脂であり、簡単に切削や穴あけができます。また、熱成形にも適しており、複雑な形状を持つ製品を作ることが可能です。
目的達成のために最適な素材を選択する
今回の加工における目的に最適な素材かを判断しましょう。アクリル樹脂は優れた透明性を持ち、光をよく通します。加工後もその透明性が保たれるため、透明な部品や製品に適しています。また、磨きや研磨が容易であり、滑らかな表面を得ることができます。そのため、美しい仕上がりが求められる製品に適しています。
品質に注意して加工業者を選択する
アクリル樹脂は抜群の耐候性を誇る素材ですが、耐熱性は弱く、加熱・摩擦によって変形などのリスクが高まる素材です。また、切削加工では切削面がくもってしまう(透明度が落ちる)ことがあります。温度管理や加工後の表面仕上げなどを厳密に行う、丁寧な仕事をする先を選ぶと安心です。また、寸法や穴径などの納品前検査が精密になされているかも確認しましょう。
F・S・のPMMA(アクリル樹脂)加工の特徴
F・S・エンジニアリングのPMMA加工の特徴をまとめました
FEATURES
加工効率の良さが発揮される
アクリル樹脂(PMMA)は加工性が良好で切削加工にも適した素材ですが、熱に弱いため、加工時には最適な刃物と速度を選択し効率的な加工作業が必要です。微細加工機、マシニングセンター、NC旋盤など豊富な工作機器を使い、最適な手法・速度・回転数で加工を行います。
FEATURES
表面をクリアに仕上げる
経験に基づいた切削技法(刃物の速度調節等)により、くもりの発生を極力抑えた加工を実現します。ただ、どうしても加工後は透明度が落ちるので、研磨などの表面仕上げを施すことで、美観を保った高品質な樹脂パーツ、治具の納品に努めています。
FEATURES
パーツ1つからご相談が可能
高い精度の要求を可能にする切削加工の場合は、最小1個から承ることが可能です。素材や設計の変更、微調整、試作品としてなど「1個、精度の高い樹脂加工部品を手に入れたい」というお客様のお力になれます。
加工実績
食品加工・半導体・医療など、各分野のニーズを捉えた当社の加工実績をご紹介します。
汎用プラスチック
汎用プラスチック素材に関するご案内です。
※その他にもSPS・PMPなどさまざまな素材の取り扱いがございます。
汎用エンジニアプラスチック
機械的強度や耐熱性などに優れた特性を有する汎用エンプラ素材に関するご案内です。
※その他にもSPS・PMPなどさまざまな素材の取り扱いがございます。