PP(ポリプロピレン)とは
ポリプロピレン(略称ではPP)とは、プロピレン重合体の熱可塑性樹脂です。化学式は(C₃H₆)xで、プロピレンと呼ばれる無色透明な気体を利用して生成され、重合触媒の種類・コポリマーの組成によってホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーなどに分類されます。色は乳半色~無色半透明です。比重は0.90~0.91と非常に軽く、水に浮きます。また比較的低価格な素材でありながら、高剛性(変形やねじりに強い)・耐熱性(高温下でも変形しにくい)・耐薬性(薬品による変形に強い)に加えて加工性にも優れているため、ポリプロピレンは汎用プラスチックとしてさまざまな樹脂製品や加工パーツ、治具などに利用されています。
PP(ポリプロピレン)の種類
ポリプロピレンは構成される物質や高分子物質(ポリマー)の組成によって分類することができます。
重合触媒の種類で分けた場合は、以下のとおりです。
ホモポリマー
ポリプロピレンのホモポリマーは、原料をプロピレン(CH2=CH-CH3)のみで構成されたものです。外的な要因の力では変形しにくく、高温にも耐えられる耐熱性を有します。食品包装に使用されるOPPフィルムやトレイなどの保存容器などに使われています。
ランダムコポリマー
プロピレンとエチレン(CH2=CH2)の2種類で構成されたPP樹脂。比較的柔らかく、融点も低いという特徴があります。そして最大の特徴は、透明性が高い点です。家庭用の洗剤に使用されるボトルや注射器の本体、食品容器などに使われています。
ブロックコポリマー
ブロックコポリマーは、ホモポリマー+ポリエチレン(PE、(C₂H₄)n)+エチレンポリプロピレンゴム粉末(EPR)の混合樹脂です。ゴム成分が配合されているため耐衝撃性に優れ、また低温下でも十分な強度を保ちます。冷蔵庫などの家電製品、自動車部品などに使われています。
PP(ポリプロピレン)の特徴
ポリプロピレン(PP)は、種類(ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー)によって特徴が異なりますが、共通して比重が小さく軽量化・コストメリットがあります。PEより耐熱性に優れ(低荷重時100℃程度まで)、耐薬品性(薬品による変形に強い)も良好です。また、高剛性・ヒンジ特性(力を加えても変形しにくい、折り曲げに強い)など優れた性質があります。一方、耐候性で劣り、とりわけホモポリマーは耐寒性が悪く、低温下での使用であればブロックポリマーが選定されます。
PP(ポリプロピレン)の特徴 一覧表
耐熱性 | 耐薬品性 | 潤滑性 | 電気絶縁性 | 防湿性 | 耐寒性 | 紫外線 | 吸水性 | 成形性 | 接着性 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | △ | × | × | ◎ | × |
圧縮強度 | 曲げ強度 |
---|---|
– | – |
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PP(ポリプロピレン)のメリット・デメリット
PP(ポリプロピレン)のメリット・デメリットを簡単にまとめました。
素材ごとに性質や価格が異なるため、メリットとデメリットを正しく知った上で最適な素材を選択することが大切です。
PP(ポリプロピレン)加工のメリット
ポリプロピレン(PP)は、需要構成では射出成形分野が60%程度と多く大量生産時に向いていますが、加工方法は切削加工や押出成形、真空成形、圧空成形やブロー成形も可能です。軽量で成形がしやすい上に比較的安価なため、一般家庭など身近な製品から工業用部品までさまざまな場面で活用されています。耐薬性(薬品による変形に強い)、耐熱性(PEより高熱に強い)、高剛性・ヒンジ特性(力を加えても変形しにくい、折り曲げに強い)など優れた性質も多いため、食品容器などの日用雑貨や注射器のシリンジなどの医療器具、自動車部品・家電製品など、幅広いニーズに対応しています。
PP(ポリプロピレン)加工のデメリット
切削加工で柔らかく、粘りがある樹脂を扱う際には、切削面にバリやひげが出やすいので注意が必要です。刃物の回転速度・切削方向などを調整しながら、寸法精度を含めた仕上がりを確認します。ポリプロピレンは水に溶けにくい性質を持つため接着は困難です。また、日光・紫外線に弱く(耐候性が悪い)、屋外で使用すると変色・変形・割れを起こしてしまうためお勧めできません。
PP(ポリプロピレン)とよく比較される素材
似た性質を持つ樹脂として挙げられるのが、ポリエチレン(PE)です。
PP、PEともに加工成形性が良く、軽量で耐薬性に優れます。ただ、耐熱性では差があり、耐熱温度はPPが100~140℃に対してPEは70~110℃です。また、強度を比較してもPEよりPPの方が高硬度で、丈夫な樹脂と言えるでしょう。
一方で、耐候性ではPEの方が優れており、使用環境・形状によってはPEを採用する場合があります。材料費もPPよりPEが若干、低価格であり、ご予算・使用用途に応じた利用がおすすめです。F・S・エンジニアリングでは異なる素材での試算も可能です。お気軽にお問い合わせください。
PP(ポリプロピレン)加工を採用するのにお勧めのシーン
どんな時にポリプロピレンを採用すべきかを簡単にまとめました。
高温下でのプラスチックの使用を検討するとき
軽量化を求めているとき
樹脂加工で、低価格かつ精度が求められるとき
医薬品容器など、耐薬性が求められるとき
さまざまな加工方法での加工を前提としているとき
PP(ポリプロピレン)加工のポイント
加工の際のポイントをまとめました。
目的達成のために最適な素材を選択する
今回の加工における目的達成のためにポリプロピレンが最適かを判断しましょう。「材料費が安価で手に入りやすいため、ポリエチレンだと一番コストダウンできる」と短絡的に考えると失敗することがあります。加工のしやすさや加工条件など、トータルで評価することが大切です。
欲しい精度や品質に最適な加工方法を選択する
加工方法は、望んだ精度や品質が実現できる手法を選びましょう。もっとも精度を高めたい場合は、切削加工がお勧めです。
品質に注意して加工業者を選択する
特にポリプロピレンは、バリ取りや面取りの品質や表面に傷がついていないかなど、素材の性質に合わせた後処理がきちんとなされているかチェックしましょう。加工部分の小さなひげが寸法を狂わせる原因となることも多いため、丁寧な仕事をする先を選ぶと安心です。また、寸法や穴径などの納品前検査が精密になされているかも確認しましょう。
F・S・のポリプロピレン(PP)加工の特徴
F・S・エンジニアリングのPP加工の特徴をまとめました
FEATURES
精度の高い加工が実現する
ポリプロピレン(PP)の性質を考慮した設計、加工を行うことはもちろん、PPの高剛性によって寸法精度が出しやすいのが特徴です。微細加工機、マシニングセンター、NC旋盤など豊富な工作機器を使い、最適な手法・速度・回転数で加工を行います。
FEATURES
バリに強い
経験に基づいた切削技法(刃物の速度調節等)により、バリの発生を極力抑えた加工を実現します。バリが生じた場合でも、手加工によるバリ取りを行うなど迅速かつ適切に処理をすることで、高品質な樹脂パーツ、治具の納品に努めています。
FEATURES
パーツ1つからご相談が可能
高い精度の要求を可能にする切削加工の場合は、最小1個から承ることが可能です。素材や設計の変更、微調整、試作品としてなど「1個、精度の高い樹脂加工部品を手に入れたい」というお客様のお力になれます。
加工実績
食品加工・半導体・医療など、各分野のニーズを捉えた当社の加工実績をご紹介します。
汎用プラスチック
汎用プラスチック素材に関するご案内です。
※その他にもSPS・PMPなどさまざまな素材の取り扱いがございます。
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